管理職の研修1

うちの社風がまだほんのりとグレーがかっていたころ、ぽろぽろと人が辞めていきました。
辞めていった人たちの中には、私自身将来を期待していた人間も含まれていました。

悩んだ挙句、思い切って現場の人たちに思っていることをぶつけてみました。
「なぜ辞めて行く人が後を絶たないのだろう?」と。

こんなとき、頼りにするのは新卒ではなく転職者たちです。
彼らはうちの会社以外も知っているわけですから、他の会社と比較できるはずです。



相談された者達は、この会社の大部分を肯定しているように見えました。
こんな時、「これが悪い」「あれが悪い」と回答を引き出すのは簡単ではありません。
普通に考えれば私のやり方に問題があるわけで、私は慎重にそれを探りました。
すると、幾つかの課題も見えてきました。

ただ、慎重に議論を重ねると、どうも管理職の教育も不足しているのではないかと感じました。
しかもそれはちょうど、当時の管理職自身が「研修はないのだろうか?もしくは、適切なアドバイスが欲しい」などと言ってきたタイミングだったのです。



管理職の教育。

一体どうやったら出来るのでしょう。私は想像も出来ませんでした。
書店に行って色んな本を立ち読みしてみましたが、やはり納得いくものは見当たりません。

外部の研修も調べてみましたが、どれもしっくりきません。
そもそも外部研修に頼るのは、我が子の躾を他人に任せるみたいで違和感もあります。
出来たての会社がそんなことをしたら、自分たちの社風が形成されません。



私は大企業にいる友人達にこのことを相談してみましたが、回答が得られるどころか、その夜の飲み会が「上司の悪口と会社の愚痴を言う会」みたいになってしまいました。
昨今、「会社が好きで上司を信頼しています」という人は減ってきているのかも知れません。
ネットなどで人間関係が希薄化しているせいでしょうか。
セクハラ、パワハラ問題でナーバスになり、上司と部下に距離が出来てしまったためでしょうか。



そして、どうやら私は“今風”の答えを自分で探さなくてはいけないという結論に至りました。



しかし、答えを探すための方法はいつも同じです。
社内で起きた色々な反省を材料にするだけです。
研修のマニュアルを作るにあたって、参考にするものは存在しません。
あるとしたら、我々が”これまでに犯した過ち”です。



まず私は、マニュアルを作るに当たって考え方の方向性を決めることにしました。
多くの経営者は、以下のどちらをリーダーにするかで悩むものです。



1.手柄がたくさんあるが、部下の信望がない。
2.そんなに手柄はないが、部下に信望がある。



経験的に2に手柄を取らせるのは容易ではないのですが、1を信望のあるリーダーにするのは可能なことだと思います。
ネットで検索しても雑誌を見ても、「社会人がリーダーに望むこと」「されたくないこと」は簡単に探せるぐらい、周知のことだからです。



それらを箇条書きにして定期的に確認し、チェックしていけば、部下の信望はないけれど手柄のある人間が真に信望のあるリーダーになれるということになります。

そこでまず私は、リーダーに必要な項目を洗い出すことにしました。

さて、次回以降はその詳細について話していきます。

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小方 功

Isao Ogata

株式会社ラクーン代表取締役社長

1963年札幌生まれ。北海道大学卒業後、パシフィックコンサルタンツ株式会社に入社。
独立準備のために30歳で会社を辞め、1年間中国に留学。
帰国後、家賃3万円のアパートの一室、お金、人脈、経験もないところから100万円でラクーン創業。
大赤字や倒産の危機を何度か切り抜け、02年にはラクーンの主力事業となるメーカーと小売店が利用する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」をスタート。そして06年にはマザーズに上場。さらに16年には東証一部に上場。
現在、ラクーンは企業間取引を効率化するための4つのサービス「スーパーデリバリー」「T&G保証」「Paid」「COREC」を提供している。

プライベートではまっているのは釣り。あとは習字を習い中。
株式会社ラクーン