営業研修<つかみ後編>

前回に引き続き、新入社員向け営業研修の話だ。
以下、社員研修で使用している社員向けの資料を原文のまま載せていく。



■本番【Getting to yes (Yesを勝ち取れ!!)】
細かなことはさておき、まずは「おもしろいね、やってみようじゃないか」の一言を頂くことに全神経を集中させます。
ここでは聞かれない限り余計なことには極力触れず(ただし聞かれたら相手の様子を見ながら少々の脱線もやむを得ない。お客様は相手なのですから)、全体の流れを簡単に説明しメリットを強調。
相手にとって直接関係の無いことはあえてここでは触れない。



■遅刻と時間確保の心構え
本番前の15分を無駄にする覚悟を。
遅くとも15分前には先方の会社の場所とビル名などを確認し、近くの喫茶店にでも入って会議の最終確認の時間を取るようにすると、そんな時間に意外なアイデアが出ることもあるかも知れません。(遅れて着いて息を切らせて会議に臨むようであれば、余裕を持った会議などできるはずもない)
早めに到着した15分が無駄になったとしても、十分なゆとりで本番に望めることの方が重要であるのは言うまでもないはずです。



■先方の地図をコピーなどして所在地を確認しておくこと
方向音痴の人は、地図のコピーを持っているにも関わらず、到着してからその地図を見て迷います。
きちんと番地や駅出口番号、ビル名などをできるだけ正確に確認しておきましょう。



■アポを確認せよ
忙しそうな方の場合は前日か当日の朝、確認をしておく。
特にアポから1週間程度、間が空く場合や遠隔地に出張に行く際など確認は常識です。(明日、伺うことになっていますがご都合の方は宜しいでしょうか?)
また、打ち合わせに行った先のアドレス欄に「地下鉄○○線 A15番出口」などと書いておくと、次回迷わなくて済みます。



■前の会議が長引くことを防げ(遅刻の隠れた最大原因)
幾ら会議が盛り上がったといえ、次のお客様を待たせるのは絶対にやってはいけない行為です。
自分は仕方がないと思うかもしれませんが、相手にしてみればいきなり遅刻した失礼なやつだということになんら違いはありません。
時折、勘違いしている人がいるようですが、どんなに偉い人に対してでも「すみません、13時から次の会議が入っていますので」とか言うことは、決して失礼ではないのです。むしろ常識です。
また、1時間しかない場合で、相手にちょっとのんびりした印象がある場合は、会議に入る前に、「すみませんが、わたし15時にはここを出なくてはいけませんので予め宜しくお願いします」と言っておく。
特に上司である、私や他の誰かが同行する場合も注意願います。知らないと話し続けてしまいます。
余裕を持って横から、小声で「すみません、私15時から入っていますので」と言えばいいのです。



■遅れた場合の備え
万一、電車の事故などで遅れた場合も想定し、相手先の電話番号、担当者名(住所、ビル名)など手帳にメモり、いつでも電話連絡ができるようにしておいたり、携帯に登録しておいたりするのも悪くない方法です。



■本番の心構え
会議、もしくはプレゼンテーションはいきなりどんどん進めてはいけない。
簡単な前振りなどして相手の人柄をよく見る。話の流れは相手に合わせる。上手にこっちのペースに持っていく。ムリにこっちの話題にねじ伏せるようなことはしない。
否定的な質問(本当に売れるの~?など)が来ても慌てない。一呼吸おいて自信ありげに「お陰様で現在取引中の企業様に大変満足頂いております」と。



■話法に注意
話し方の癖などないかをチェックします。人に聞いてもらうのがいいでしょう。
チェックシートもありますので利用してください。

・「まあ~」、「え~っと」のような癖がないか?
・語尾上げ言葉を使ってないか?
・相手にも少し話をさせて興味点や問題点を見極めることが出来ているか?
・メリハリはあるか?、間はあるか?、リズムはいいか?
・情熱は伝わっているか?
・スピード感があるか?
・シンプルに話せているか?(回りくどくないか?)
・曖昧・適当な受け答えがないか?
・安易なメリット説明(すぐ売れるなど)していないか?
・わざとらしい営業トークになっていないか?
・臨機応変さはあるか?



■プレゼン資料は渡さない
プレゼン資料は説明用に作られたものであり、説明無く社内で回覧されたら誤解の元になります。
その為、プレゼン資料は渡さず、正式に文章化したものを置いてくるようにしましょう。(そのまま回覧されると誤解の恐れがあると)事情を話せば分かります。



■時間配分と落としどころ
プレゼンテーションで意外に問題となるのは時間配分です。
イレギュラーとなる3パターンとの付き合い方を説明しておきます。



■時間の確保
自分が幾ら張り切っていても、相手がそうとは限りません。
忙しそうな人には、1時間程度大丈夫でしょうか?などと予め確認をしておきましょう。
焦った相手が突然、次の会議がありますので、なんて言い出したらそれこそ大変です。
先方に急用が出来て1時間の予定が30分になってしまったりもします。
また、自分自身も次にアポが入っているなら、そのつもりで時間配分しましょう。



■話好き、脱線タイプは説明時間を確保しづらい
話好きな人は自分の話を遮られると不快に感じます。聞き上手に徹しましょう。
その様な人に対する営業は一番難しいですが、上手に話を聞いてあげると、とても気に入ってくれます。
ただ、「うんうん」と聞いていただけではいけません。真剣に内容を理解する努力が必要となります。
おかしなものでこのようなタイプは、話の聞き方を見て相手の人物を読んでいます。
相手の気持ちになりきって(Sympathy)を理解するのです。そして諦めずに待っていると一瞬の隙をくれますので、そのタイミングで一言二言、言いたいことを簡潔に伝えます。
チャンスは一度しかありません。上手にやってください。
逆に聞きたがる人の場合は一生懸命説明しましょう。質問などを交えながら相手のニーズを探るのがコツです。
営業中はこっちが話す量の方が多くなりますが、世間話的時間においては、7:3で聞く方に回ると相手は心地よく感じます。
続けて話をしないように。必ず、間を空けて相手が話すチャンスを作ってあげるように。



■決定権のある上司が途中で遅れて参加する場合
実際によくあるケースです。慌てないで冷静に判断しましょう。
まず、大切なのは本当に、この途中で参加してきた偉い人に決定権があるのかどうかです。
決定権を持った人間はプライドが高い分、暗にそれを示そうとする傾向があります。(私、任されていますからなどの発言があるなど)
これまで話を聞いていた担当者に十分に決定権がありそうであるならば、挨拶だけして話をそのまま進めていいのです。
色々質問しても返りが悪く、後で出てきた上司にこそ決定権がありそうな場合は、ちょっと一苦労です。
どんなに話が終わり際に差し掛かっていたとしても、一から説明をやり直す必要があります。

これら3パターンの克服法は、短時間で要領よく説明できる訓練です。

30分のプレゼンを15分でしてみる
→さらに5分でしてみる
→さらに1分でしてみる

という具合に、どんどん短時間でする練習をしていきます。
これができればどんな場面でも慌てないで、要点を掻い摘んで説明できるようになります。




営業研修は、まだまだ続く。
次回は最初の「つかみ」から結果まで導いていく作業、「クロージング」だ。

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小方 功

Isao Ogata

株式会社ラクーン代表取締役社長

1963年札幌生まれ。北海道大学卒業後、パシフィックコンサルタンツ株式会社に入社。
独立準備のために30歳で会社を辞め、1年間中国に留学。
帰国後、家賃3万円のアパートの一室、お金、人脈、経験もないところから100万円でラクーン創業。
大赤字や倒産の危機を何度か切り抜け、02年にはラクーンの主力事業となるメーカーと小売店が利用する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」をスタート。そして06年にはマザーズに上場。さらに16年には東証一部に上場。
現在、ラクーンは企業間取引を効率化するための4つのサービス「スーパーデリバリー」「T&G保証」「Paid」「COREC」を提供している。

プライベートではまっているのは釣り。あとは習字を習い中。
株式会社ラクーン