営業研修<つかみ前編>

前回に続いて、新人の営業研修のお話である。ラクーンの営業研修の一番最初の部分である。
以下、社員研修で使用している社員向けの資料を原文のまま載せていく。



<つかみ>

■準備が全て
自分が1週間にやっている内容を細かく分析してみてください。

もっとも重要な(プライオリティの高い)作業はなんでしょう?
新規営業は1週間に2、3回?それとも4、5回でしょうか?

営業メンバーの業務成績、つまり売上は新規のお取引先を獲得して初めて増えるわけです。
新規の営業に於いて先方は、互いに着席した数分後には「ああ、おもしろそうだな。やってみようかな」なんて印象を抱き、そのことは事実上の結果に大きな影響をもたらすのは言うまでもありません。

要するに、1週間の間に4,5回しかない新規営業で、最初の数分間ほどプライオリティの高い時間はないのです。
相手がやることさえ決めてくれれば、あとは実務ですので基本的には時間を掛ければ終わる作業です。

みなさんはそのホンの数分間の為にどれほどのエネルギーを使っていますか?

ここに整理した内容はその最初の数分間(相手がYes と感じるまでの数分間)に如何にエネルギーを集中するかについて、気づいたことをまとめたものです。



■前日までに相手をよく調べる
前日の夜までに相手先企業のことをよく調べておきましょう。前日までに勝負は決まっています。

・何をやっているどんな会社なのか?親会社、関連会社などはあるか?
・年商、従業員数はどれくらいあるか?
・自社生産か仕入か輸入か?
・最近の売上推移、商品棚卸し高はいくらか?
・最近の新聞発表がないかどうか?社長の紹介情報はないか?

※上場企業の場合は四季報なども参考にします。
社長や経営陣のFacebookやブログ、最近のニュースなども参考にします。



■シミュレーションをしてみましょう
調査の重要性は述べましたが、ただ調査しただけではそれ自体さほどの意味はありません。

それらを元に、「先方にとって弊社のサービスが価値を持つものなのかどうか?」
「どう説明したら意味を見出してくれるだろうか?」など、よく考えてみましょう。
帝国やHPで調べた事を元に、色々と考えてみるのです。
もちろん一概にこれで成功するとは言えませんが、何も考えて行かないより心構えがしやすくなります。

社長が高齢で少人数の会社→ネット嫌いでアナログな可能性が強い
HPはあるがタイムリーに更新されておらず、過去に作りっぱなしな印象→やはりアナログ
ネットショップを開業している→ネットに理解と期待がある可能性がある

などなど。

学校の勉強と違い、実際のビジネスをやっているわけですから、本を読んでもネットで調べても分からないことだらけです。出来るだけ周りの経験者に聞いてみるようにしましょう。

さあ、調査と検証がある程度進んだら、ぜひ頭の中でシミュレーションを行いましょう。
なかなかうまくシミュレーションが出来ないようだったら、社内の誰かに聞き役になってもらい練習するのもいいでしょう。

明日会うのは、大企業の部長ですか?それとも中小企業のオーナー社長?

相手によって話の進め方も変わってきます。通り一遍のやり方ではうまく行きません。
アンチインターネットの人かインターネット好きの人かでも、攻め方は違います。




営業の場合、「習うより慣れろだ!」って会社も少なくないのではと思う。
しかし、その考えは昭和的だ。最低限のマニュアルと研修はあった方が良い。
次回はいよいよ、営業本番についてのお話である。

小方 功

Isao Ogata

株式会社ラクーンホールディングス代表取締役社長

1963年札幌生まれ。北海道大学卒業後、パシフィックコンサルタンツ株式会社に入社。
独立準備のために30歳で会社を辞め、1年間中国に留学。
帰国後、家賃3万円のアパートの一室、お金、人脈、経験もないところから100万円でラクーン創業。
大赤字や倒産の危機を何度か切り抜け、02年には主力事業となるメーカーと小売店が利用する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」をスタート。そして06年にマザーズ上場、16年に東証一部に上場し、22年には東京証券取引所の市場再編により、東証プライム上場に。
現在、ラクーンホールディングスは企業間取引を効率化するためのサービス「スーパーデリバリー」「SD export」「COREC」「Paid」「URIHO」を提供している。

プライベートではまっているのはゴルフ、釣り、ワイン、韓流ドラマ。
株式会社ラクーンホールディングス