人は好きな人のいうことは素直に聞く
「部下から尊敬されるにはどうしたらいいのでしょう?」と講演会などでよく質問を受ける。
「部下から尊敬されることが経営者の目標なのだろうか?」と疑問を投げはするが、尊敬はされないよりされた方がいいのは確かだ。
経営者や管理職が、部下から尊敬されたいと思う理由の1つは、現場をうまく統率していきたいからだろう。
ただ、そうであるならば、尊敬されることを目指す前に「好かれること」を目指してみてはどうだろう。
そもそも、人は好きな人の言うことはよく聞くが、嫌いな人のいうことは聞かないかもしれない。ひどい場合は、正しいことを言っても拒否されてしまうことだってあり得るのだ。
つまり経営者は正論をいうその前に、そもそも好かれていなければ話にならないのだ。好きという言葉に抵抗があるなら「信頼」と言い換えてみてもいい。経営者がどんなに正しいことを主張しても、みんなから信頼されていなければ、その言葉は受け入れられない。
だから信頼されるということこそが最初にするべき努力ということになる。
人はどうすれば信頼されるのだろう。
私は人が信頼されるかどうかは、単純に日頃の立ち振る舞いで決まるのだと考えている。ドラマや映画などで、主役とライバル役がいたとする。物語の進行を分かりやすくするために、脚本家は同情などの感情移入を主役に集めようとする。したがって、主役は大抵の場合いいやつだ。多少“ワル”を装った役でも友人だけは大事にしたり、人として正しいことを述べていたりといった具合だ。
一方、ライバル役は人の陰口を言ったり人の成功を妬んだり、偏見に満ちていて身内ばかりを庇い、派閥を形成したり人の努力を認めなかったり、視聴者の心を操りそこに憎しみを集めようとする。
人生をドラマに例える人がいるが、もしドラマだとするなら進んで悪役をやる必要もないだろう。多くのリーダーは部下からの支持率を気にするものだ。
しかし、そんなことを気にするよりも「そもそも、人としてどうよ?」って目線で素直に、当たり前の行動を取れる人でいることがとても重要なのだと思う。