上司と部下で正解のイメージを一致させる

外国語を勉強してみると日本語の曖昧さが気になってしかたがない。
通訳を介して話す場合など、「まあ、そこのところを一つよろしく」などというと、通訳は泣きそうな顔をしながら、「なんて、訳せば良いですか?」と聞いてくるかもしれない。
もしくは、「具体的には、なにがどんな状態になることを要求しますか?」と確認されるかもしれない。

私が部下との会話でよく注意をするのは、「5W1Hを明確にし、主語、述語、目的語を省略するな」だ。
ビジネス上での会話なので、(飲み会じゃないんだから)少しでも誤解の余地を残して会話すると、こちらの希望と違うものが仕上がってくる可能性がある。だから、それらは省略してはいけないのだ。

とても努力している社員が、なかなか上司に認められないと相談してきたとする。
そのような場合、私はその社員と上司に細かく状況を確認してみる。すると、互いに描いている完成形が全然違っていることがある。
それでは幾らやっても褒められるわけがない。よってその上司には、「AをBまでにCのような感じにDして欲しい」とちゃんと明確に部下に 伝えるべきですと指示する。
さぼっているわけでも能力が低いわけでもなく、正確に伝わっていないだけですよと。半年後にその社員は高い評価を得たりすることがあるのだ。

昭和の頃にはよく、「空気読めよ」とか「黙って俺の背中に付いて来い」とか、一般社員には“高度な理解力(?)”が求められた。しかし、昔も今もそんな理解力は誰も持たないので何かにつけ、飲みに行こうという話になる。不足しているのは会話じゃないかということだ。
ここで気をつけなければいけないのは、不思議なことに酒が入って気持ちが良くなると、何かを理解したような気になることだ。時には何かが解決したような気にさえなる。
もちろん、あとでそうではないことに気が付くのだが。いや、気が付けばまだマシかもしれない。

この錯覚に気が付かないと、「指示する側」は「実行する側」を理解力のない間抜けなやつだと思うかもしれない。
そのような上司の場合、「罪を憎んで人を憎まず」なんて出来ないから、その人自身を嫌いになり、その気持ちは顔全面に出てしまうかもしれない。そうして、最悪部下を失うことになる。

言葉は大切だ。

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小方 功

Isao Ogata

株式会社ラクーン代表取締役社長

1963年札幌生まれ。北海道大学卒業後、パシフィックコンサルタンツ株式会社に入社。
独立準備のために30歳で会社を辞め、1年間中国に留学。
帰国後、家賃3万円のアパートの一室、お金、人脈、経験もないところから100万円でラクーン創業。
大赤字や倒産の危機を何度か切り抜け、02年にはラクーンの主力事業となるメーカーと小売店が利用する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」をスタート。そして06年にはマザーズに上場。
現在、ラクーンは企業間取引を効率化するための4つのサービス「スーパーデリバリー」「T&G売掛保証」「Paid」「COREC」を提供している。

プライベートではまっているのは釣り。あとは習字を習い中。