自分と対話することの重要性

人と会って会話することの大切さは分かると思うが、自分との対話の重要性を分かっている人は意外と少ない。

自分と対話するというのは、自分自身のことについてあえてじっくりと考えてみるということだ。
例えば自分自身の体を戦艦だと思ってみて欲しい。頭は操縦席、手は大砲で足はエンジン。これから戦いに出る。このとき自分はこの戦艦の船長だ。戦いに勝利したいのであれば、敵を知ることも大事だが、その前に自分の戦艦の特徴や性能について熟知している必要がある。人間の体もこれと同じである。何が得意で何が苦手なのか?

人間には“個性”がある。そしてそれは人それぞれに違う。癖もあるだろう。ただ単に自分の癖を悪いことと定義づけて修正しようとする人もいるが、本当にそれは悪い癖なのだろうか。もしかしたらそれはその人にとって大切な個性なのかもしれない。
人間にとって“性格を直せ”という要求は大変な苦痛でありストレスの原因にもなる。またそれは自分でまだ気が付いていないだけで、これから何らかの成功を収める時に重要な武器となり得るものなのかもしれないのだ。

迷ったとき、答えを外部に求める人にならないで欲しい。
なぜならば、それは外部に存在しないからだ。本を読むことも人に会うことも大事だ。でも、自分自身のことを本当に理解できる人は自分しかいないし、本や会話はヒントにはなり得ても答えではないのだ。決めるのが自分である以上、答えはやはり自分の中にあるのだ。

会社帰りに行きつけのバーを見つけて、1杯だけグラスを傾けて今日一日のことや上司や部下との会話について思い出してみるのもいいだろう。今日学んだことや最近悩んでいることについて整理してみたり、学んだことを咀嚼してみたりするのもいいかもしれない。

私が若い頃に試みた方法の1つに“座禅”がある。瞑想でも構わない。15分程度、誰とも会話せずテレビも消して、何も考えないようにする。バーで一杯やるのとは逆の方法で、あえてなにも考えないような努力をするのが座禅だ。やってみると分かるが、実はこの「何も考えない」というのは大変難しい行為だ。やればやるほど最後の一つのような何かにたどり着く。運がよければやがて自分の強みや弱みが見えてきて、「為すべきこと」にたどり着けるかもしれない。

ポリシーのある人なんて言い方をよくするが、大人として成熟していて自分自身の考えをしっかりと持った人、ぶれない人とか言われる人は、このようにして自分のことを誰よりもよく理解しそして自分が誰なのかを知っている人のことなのではないだろうか。

昨今は情報が氾濫している。故にそれらを整理して自身の血肉にするのはとても難しいことになったように思える。しかし、それらがヒントにはなり得ても答えではないということに気が付けば、時々思い切ってそれらのインプットを一旦は断ち切り、それらを咀嚼し整理する時間がとても大事であることに気が付く。

トイレにも、お風呂にもスマホを持って入るという人もいるようだが、たまにはそれをどこかに置いてゆっくり自分と会話してみたらどうだろう。

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小方 功

Isao Ogata

株式会社ラクーン代表取締役社長

1963年札幌生まれ。北海道大学卒業後、パシフィックコンサルタンツ株式会社に入社。
独立準備のために30歳で会社を辞め、1年間中国に留学。
帰国後、家賃3万円のアパートの一室、お金、人脈、経験もないところから100万円でラクーン創業。
大赤字や倒産の危機を何度か切り抜け、02年にはラクーンの主力事業となるメーカーと小売店が利用する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」をスタート。そして06年にはマザーズに上場。
現在、ラクーンは企業間取引を効率化するための4つのサービス「スーパーデリバリー」「T&G売掛保証」「Paid」「COREC」を提供している。

プライベートではまっているのは釣り。あとは習字を習い中。