日報が会社を変える

ラクーンでは、創業以来みんなが1日の終わりに簡単な日報を書くことになっている。

「上の人ほど報・連・相を」という方針なので、部長も役員も書く。もちろん私も。
この日報はメールで行われるが、工夫がしてあり短時間で必要な情報を確認できるようになっている。基本的には業務のことを中心に書くのだが、2006年頃から誰かれなしに末尾に1日の感想を“呟く”のが流行始めた。
「業務外」の内容ではあるが、さしたる害も見当たらないので放置しておいた。そうしたところ、少しずつ内容が充実し始め、やがてこの欄が重要な役割を果たしていくこととなる。

最初は「猫を飼い始めた」とか「コンサートに行ってきた」とか、その程度の内容だった。しかし、次第にその欄がきっかけで話したこのない人同士が共通の趣味を見つけたり、育児の悩みを書いたママが先輩のアドバイスを得たりと、使途はどんどん広がっていった。支社とはテレビ会議以外接点は少ないが、誰がどんな趣味を持っていて、最近何にはまっているのかまで知っており、「来週出張で支社行きます」と呟くと飲み仲間も待機しているといった具合だ。私は、この欄に「本日の一言」という名前を付けた。

シャイなエンジニアも少なくないので、飲み会に依存しない交流方法を模索していた。ITを生業とする会社なのだから効率化できるところは徹底的に効率化したい。情報を整理したり、コミュニケーションを潤滑にしたりする類いのものは積極的に採用する。一部の社内情報はスマホでも見られるようになっているので、帰宅の早いママ達は帰りの電車でスマホを使って書いたり見たりする。「重要なことは飲み会で決まる。それに参加できない人は遅れをとる」なんてことのないようにしなくてはいけない。

社員たちは、上司や経営陣の日報も読みたがる。現状、近況に対して「どのように思っているのか?」を知りたいからだ。「黙って俺の背中に付いて来い」という時代ではい。「何のためにそれをするのか。どうしてそのような結論に至ったのか。やった結果はどうだったのか?」をみんなは知りたがっている。

この「本日の一言」は始めて7年になるが、今では大切コミュニケーションツールだ。宴会や社員旅行以上の武器である。コストもほとんどかからない。
それは、育児で忙しいパパやママのプライベートを奪わず、また支社や産休中の人間の心をも繋ぐことが出来る。“ムラを作らない”相互理解ツールなのだ。

会社には情報通も情報難民もいて欲しくない。

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小方 功

Isao Ogata

株式会社ラクーン代表取締役社長

1963年札幌生まれ。北海道大学卒業後、パシフィックコンサルタンツ株式会社に入社。
独立準備のために30歳で会社を辞め、1年間中国に留学。
帰国後、家賃3万円のアパートの一室、お金、人脈、経験もないところから100万円でラクーン創業。
大赤字や倒産の危機を何度か切り抜け、02年にはラクーンの主力事業となるメーカーと小売店が利用する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」をスタート。そして06年にはマザーズに上場。
現在、ラクーンは企業間取引を効率化するための4つのサービス「スーパーデリバリー」「T&G売掛保証」「Paid」「COREC」を提供している。

プライベートではまっているのは釣り。あとは習字を習い中。