立ち振る舞いや言動も教育対象

ラクーンでは立ち振る舞いや言動までも教育対象だ。これは変わったことかもしれない。昨今そのような会社は減る方向だ。ただ、そうしているのには訳がある。

2000年に初めて社員の募集を行い、その後売上などの数字を中心とした目標を掲げ、事業展開してきた。結果としてそれらは増え続け、社員の能力も育ってきた。
しかし、人としての教養・徳・人望などの育成が後回しにされてきたことが次第に問題となってきた。そのような組織にはまとまりがなく、チームワークも発揮されない。そこで経営陣は相談し、これらのことも教育の対象とすることを決めたのだ。

半年に一度ある評価時のシートに、言動や立ち振る舞いへのアドバイス項目を追加し、定期的に話し合うようにした。ただし、これらは「リーダーが担当と個々の問題をどう思っているのか、話し合うためのもの」であり、一方的にあれが悪い、これが悪いとか指摘するようなものではない。
また、個人の生産性に直接関係があるものでもないので、給与の評価対象からも除外されている。また、管理職自身のチェックシート(記入者は役員)なども追加し、リーダーの立ち振る舞いや言動も教育対象としていった。

ボサボサ頭で、毎日1分前に出社する人がいたとする。そのような場合、評価時に、「それって、後輩も見ていたりするわけだからやはり理想的では無いよね」とこんな話しをするわけだ。項目は40個程ある。

全体会議ではこう説明をした。仕事が出来る人であればあるほど、その能力に見合っただけの”徳”が必要となる。それはまるで、空手や柔道を習うとき、礼儀も一緒に習うのと似ている。能力だけが突出していて、徳のない人間を育てたら社会に害を為す人にもなりえるのだ。
また、勉強は学校で習える。仕事は会社で教わることができる。しかし、その2つだけでは人は幸せにはなれないと思う。

“道徳”がないと人は幸せにはなれないのだ。ほとんどの国ではそれを宗教が担当しているが、日本人は昨今宗教に懐疑的だ。だから、この道徳のあるべき形に関しては、みんなで話し合いながら進めていくしかない。

我々が理想とする企業というのは、ただ売上や人数において大きくなっていくのではなく、事業そのものや組織自体が魅力的であることがとても重要なのだ。それは求人や事業の話題性にも影響し、最終的には競争優位性に影響するだろうと考えているからだ。

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小方 功

Isao Ogata

株式会社ラクーン代表取締役社長

1963年札幌生まれ。北海道大学卒業後、パシフィックコンサルタンツ株式会社に入社。
独立準備のために30歳で会社を辞め、1年間中国に留学。
帰国後、家賃3万円のアパートの一室、お金、人脈、経験もないところから100万円でラクーン創業。
大赤字や倒産の危機を何度か切り抜け、02年にはラクーンの主力事業となるメーカーと小売店が利用する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」をスタート。そして06年にはマザーズに上場。さらに16年には東証一部に上場。
現在、ラクーンは企業間取引を効率化するための4つのサービス「スーパーデリバリー」「T&G保証」「Paid」「COREC」を提供している。

プライベートではまっているのは釣り。あとは習字を習い中。
株式会社ラクーン