陶芸家のように自らのアイディアをたたき割ろう!

多くの実業家が言うように、事業はトライアンドエラーだ。どんなに有名な事業家でも、何個か手がけて、そのうちの一個が成功すれば上出来だ。これが大前提であるにも関わらず、一個二個の失敗でくよくよして前に進まないのであれば、その「くじ引き」からアタリを引く日はなかなかやってこない。だからこそ、せいぜい楽観的に元気よく次のくじを引くことが大切なのだ。

しかし、予算や人生には限りがある。1/3がアタリであるのと1/10なのとでは大きな違いだ。かりにこれを打率と呼ぶことにするが、この打率を如何に上げられるかが事業を手がける者の生命線だ。

私の場合は、とにかくたくさんのアイディアを出す。毎日3,4個それをメモってひたすら溜めて、数日おきにそれを消していく。年間で1000個は超えるので、過去十数年でちょっとした本の束になる。時々部下に見せると驚かれる。ひたすら溜めたアイディアを更に数日おきに消していく。そこから残ったものを年に一回か二回、経営陣に話す。それらは更に絞り込まれて、部門長やチームリーダーに示されどんどん絞り込まれていく。最後に全員が「いいね」と言ったものだけを実行しているのだ。

「誰に何を売るのか?(どんなサービスを提供するのか?)」は、会社の生命線そのものだ。どんなに資金があっても、メンバーが揃っていてもそれが駄目ならば、全ては無駄となりかねない。だから、この部分に最大の重きを置く。

私から見て、上手くいっていない人ってアイディアが稚拙なのではなく、そもそも出しているアイディアの数が少ない。分母が少ないので絞り込んだら無くなってしまう。だから、たまたま思いついた、もしくは自分が経験した少ない事案の中から生まれたたった一個のアイディアに固執してしまっているケースが少なくない。私は自分のアイディアが部下達に却下されても(ちなみによくされるが) 全然気にしない。なぜならプランB、プランC、、、いくらでも球があるからだ。

以前、テレビで陶芸家の紹介をしていたのを見たことがあるが、かなりの数の作品を焼いてその大半をたたき割っていた。「もったいない」と思ってしまう。その人の焼いた壺は何万円もするらしいので、失敗作でもいいから一個分けて貰えないだろうかと思ってしまうが、もちろんそうお願いしても彼はそれに応じないだろう。絞り込み、納得いかないものを一つも世に出さないからこそ一流と言われているのだ。

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小方 功

Isao Ogata

株式会社ラクーン代表取締役社長

1963年札幌生まれ。北海道大学卒業後、パシフィックコンサルタンツ株式会社に入社。
独立準備のために30歳で会社を辞め、1年間中国に留学。
帰国後、家賃3万円のアパートの一室、お金、人脈、経験もないところから100万円でラクーン創業。
大赤字や倒産の危機を何度か切り抜け、02年にはラクーンの主力事業となるメーカーと小売店が利用する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」をスタート。そして06年にはマザーズに上場。
現在、ラクーンは企業間取引を効率化するための4つのサービス「スーパーデリバリー」「T&G売掛保証」「Paid」「COREC」を提供している。

プライベートではまっているのは釣り。あとは習字を習い中。